【集中講座】RhinoとGISの連携:Rhino モデルをオンラインで共有する(Cesium ion)

第4回では、Heron を用いて Rhino モデルに位置情報を設定しました。本記事では、そのRhino モデルを Cesium ion に読み込み、オンライン上で共有する方法を紹介します。
Rhino × GIS の連携は、単に 3D モデルを作成することだけでなく、位置情報を持った成果を、他者と共有できる形にすることまで含めて、はじめて実務で意味を持ちます。

Cesium ionとは

Cesium ion は、3D 地理空間データをオンラインで可視化・共有するためのプラットフォームです。Rhino × GIS の文脈では、次のような特徴があります。

  • Rhino で作成した 3D モデルを地理空間上に配置したまま共有できる
  • Web ブラウザ上で 3D 表示が可能
  • URL を共有するだけで、専用ソフトを持たない相手にも内容を伝えられる

本記事では、Cesium ion の高度な機能や CesiumJS を用いたアプリケーション開発については扱いません。あくまで Rhino モデルをオンラインで共有するための手段として利用します。

以下のページより、Cesium ionを利用することができます。
https://ion.cesium.com/signin

※Cesium ionは弊社(AppliCraft)のサポート対象外です。不明点については提供元のサポートをご確認ください。

WGS84とは

第4回では、Heron を用いて座標参照系(EPSG:4326)を設定しました。この座標参照系の基準となっているのが WGS84 です。WGS84 は、地球全体で共通に使われている測地系(地球の形状を定義する楕円体モデル)です。緯度・経度で位置を表す地理座標系は、この WGS84 測地系を基準として定義されています。Cesium ion や Google Earth 系のサービスでは、この WGS84 測地系に基づく座標系を前提として地理空間が扱われています。

RhinoモデルをKMZ形式にエクスポートする

第4回で Heron を用いて位置を設定した Rhino モデルを、KMZ 形式でエクスポートします。KMZ 形式は、Heron で設定した WGS84 に基づく位置情報を保持したまま、3D モデルを扱うことができる形式です。KMZ 形式では、3D モデルと位置情報がセットで管理されます。Heron によって設定された位置情報は、KMZファイルとして保持され、Cesium ion や Google Earth 系のソフトウェアで利用できます。なお、本記事で扱う位置情報は、検討・比較・可視化といった初期段階での利用を想定しています。

※高さ方向の扱い(鉛直座標系)については、楕円体高やジオイド高など、基準の考え方が複数存在します。そのため、高さはプラットフォーム間で単純に統一できるものではなく、利用する環境ごとに設定・判断する前提となります。本記事では、検討・共有を目的とした手順紹介として、高さ方向については統一的な基準で調整するのではなく、利用するプラットフォームごとに個別に調整する方針としています。

Cesium ionにインポートする

エクスポートした KMZ ファイルを Cesium ion にアップロードします。アップロード後、モデルは自動的に処理され、Web 上で表示可能な形式へ変換されます。Rhino 内で作成したモデルが、地理空間上で共有可能なデータへと変換される工程です。

RhinoモデルをCesium ionでオンライン共有する

Cesium ion では、表示された3Dモデルを URL として共有できます。

  • 閲覧者はブラウザを開くだけで確認可能
  • 専用ソフトのインストールは不要
  • 位置関係を含めた3Dモデルを直感的に共有できる

Rhino × GIS の連携によって、「個人の作業データ」だった Rhino モデルが、他者と情報や判断を共有できる成果へと変わります。

また同じ KMZ ファイルは、Google Earth Pro に読み込むことも可能です。Google Earth Pro でも WGS84 を前提として地理空間が扱われています。ただし、表示方法や高さの解釈はCesium ion と異なる場合がある点に注意してください。

Cesium ionやGoogle Earth Pro に関する詳細な操作方法については、最新の公式ドキュメントをご確認ください。

同じ3DモデルをGoogle Earth Proに読み込んだイメージ

よくある失敗例

Cesium ion や Google Earth Proにおいて Rhino モデルを保存し、しばらく時間をおいてから確認すると、当時は建物が存在していなかった場所に新しい建物データが追加され、モデルと干渉してしまうことがあります。
一部のプラットフォームでは、過去の都市状態を参照できるタイムスライダー機能が提供されている場合もありますが、常に利用できるとは限りません。特に、建物が存在していない空き地に検証目的で Rhino モデルを配置する場合は、背景となる地理空間データが随時更新されることを前提として扱う必要があります。

背景となる地理空間データの更新により、周囲の建物状況が変化した例

まとめ

本記事では、Heron で位置を設定した Rhino モデルを Cesium ion に読み込み、オンラインで共有する方法を紹介しました。Rhino × GIS の連携は、3Dモデルを作成すること自体が目的ではありません。位置情報を含めた成果を、他者と共有できる形に変換することが重要です。

一方で、簡易的な位置合わせには前提と限界があります。その扱い方を誤ると、「なぜズレたのか分からない」という問題につながります。
次回は、Rhino × GIS で誰もがつまづきやすい「座標系の扱い」を整理します。
なぜズレたのか。どこで判断を誤りやすいのか。第1〜5回の内容を振り返りながら、つまづきが構造的に起きる理由を言語化していきます。