Grasshopperによる高付加価値・触感デジタルデザイン


—広島大学大学院工学研究科・栗田雄一研究室・株式会社アプリクラフト共同プロジェクト—

本プロジェクトは、広島大学栗田雄一研究室が受けた研究助成「科学技術振興機構さきがけ」ならびに
「東広島市政策課題共同研究事業」の結果として得られた成果を活用して実施しています。


触感モデルとGrasshopper

工業デザイン製品等の物理的な持ちやすさや触り心地は製品の質感や付加価値を決める重要な要素であり、従来の触感評価は摩擦係数や表面粗さなど、素材パラメータの計測により行われています。しかし素材パラメータは、人が主観的に感じる触感感性との相関性が必ずしも高くないことが知られており、触感の定量評価を困難にしています。

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触感を定量評価するための物理的なモデルは、デジタルデザインツールを使用して、3次元モデルの表面の凹凸の度合いやその形状、大きさの変化を与える事によって実現出来ますが、知識と経験が必要とされます。
また無数の形状をシミュレーションし、それを検証するためにはコンピュテーショナルデザイン手法が不可欠でした。本ページでは、広島大学大学院工学研究科栗田雄一研究室より依頼を受け、株式会社アプリクラフトがGrasshopperを使用して、パラメトリックに生成可能な10種類のGrasshopper定義ファイルを作成し、公開するものです。それぞれのGrasshopper定義ファイルのパラメータを変更することによって、理論的にはほぼ無限の触感サンプルを生成することが可能です。

CMFと触感モデル

3次元CADなどで使用されるデジタルデザインにおける表面処理方法において、CMFという概念が一般化されています。 CMFとは工業製品等の“モノ”が持つサーフェイス(表面)のことでColor(色)、Material(素材)、Finishing(加工)の3つの要素で成立します。

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CMFはモノの美しさ、品質向上、表面保護、コンセプト表現、機能性向上において不可欠なものといえます。つまりCMFに基づいた表面処理が、高い付加価値を生むものです。
触感モデルはCMFに加え、”拡張CMF”として捉える事が可能です。Feeling(感覚)、Function(機能)、Form(形状)の要素に加え、触感に関する機能的価値を有する表面処理を数学的表現により実現することにより、感性テクノロジーの概念をCMFに拡張概念として付加して、さらなる価値を創生することが可能となります。

チュートリアル動画

このチュートリアルムービーは2つのパートに分かれています。前半はRhinoのみでのモデリングで、指定したサーフェス上に矩形状に整列配置の後、参照するサーフェスをモーフィング配置する例です。後半はGrasshopperを使用して同様のアルゴリズムを定義し、高さ、分割数をパラメトリックに編集する基本的な作成例です。

触感サンプル、”Grasshopper定義ファイル”01-Minamo”の使用方法を解説したものです。各パラメーターを変更することによって、触感モデルの形状、数、密度等の編集が可能です。
ダウンロードできる他の”Grasshopper定義ファイル”も同様の構成になっています。

関連リンク

■ 広島大学大学院工学研究科・栗田雄一研究室
http://www.bsys.hiroshima-u.ac.jp/~kurita/
■ 触感評価技術の開発とコンピュテーショナル触感デジタルデザイン
http://www.bsys.hiroshima-u.ac.jp/~kurita/work_j_digitalhapt.html

触感サンプルダウンロード

下記のダウンロードボタンより.ghファイルがダウンロードいただけます。
※こちらのファイルはRhino5用のGrasshopperでは開けません。Rhino6をお持ちでない方は評価版にてご確認が可能です。

■ 全てのサンプルをまとめてダウンロード(1.57MB/.ghファイル10点)   

01-Minamo

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

水面などの液体の表面のような不規則な起伏、凹凸のあるパターン。

02-Shizuku

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

平らな表面についた無数の水滴のようなパターン。

03-Ganseki

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

さまざまな形や大きさの粒から成る岩石の表面のようなパターン。

04-Renga

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

煉瓦やパネルをずらしながら敷き詰めたようなパターン。

05-Kibori

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

彫刻や槌目(ハンマー)など、表面を削ったり叩いたりしたときに見られるパターン。

06-Hachinosu

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

蜂巣や甲羅、フジツボなどに見られる六角形をベースとしたボロノイパターン。

07-Croco

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

鰐やヘビなど爬虫類の表皮などに見られるパターン。

08-Uroko

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

魚の鱗のような波打った形状のパターン。

09-PanelArray1 (Advanced)

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

1種類のパネルを規則的あるいは不規則に反転・高さ変更しながら配列するアルゴリズム。(Urokoのベースになっているもの)

10-PanelArray2 (Advanced)

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

2種類のパネルを規則的あるいは不規則に配列するアルゴリズム。
(Shizukuのベースになっているもの)。