VisualARQ3 では、いくつかの新機能が実装されています。本記事では、建築モデルの編集をより直感的かつ効率的に行うための「延長 (Extend)」機能についてご紹介します。
主な特徴
VisualARQ3から実装された「延長」機能は、壁、カーテンウォールまたは柱などを他のジオメトリに合わせて上下方向に延ばし、自動的に形状を調整するものです。形状が複雑に交差する建築モデルでも、正確な接続(拡張)を簡単に実現できる点が、この機能の大きな特徴です。

操作手順
コマンドとしては、壁の場合は vaWallExtend、カーテンウォールの場合は vaCurtainWallExtend、柱の場合は vaColumnExtend を使用します。

操作は非常にシンプルです。たとえば、延長したい壁を選択します。次に、延長の方向(上または下)を指定し、延長先となるジオメトリを選択します。すると、指定した方向に壁が延長され、対象のジオメトリに自動で接続されます。また水平(または垂直)の延長矢印を使用することでも、他のオブジェクトに接続することができます。

活用例とそのメリット
この延長機能は、特に屋根や階段のように断面形状が一定でない建築要素との接続に強みを発揮します。たとえば、傾斜屋根に合わせて壁を正確にカットしたり、床の高低差に合わせて壁の下端を延長することで、上下方向のジオメトリと自然に接続させることができます。これにより、従来のように手動でトリムやブーリアン操作を行う手間が大きく軽減されます。また、設計変更が生じた際にも、延長先のジオメトリに応じて再びコマンドを実行することで、素早くモデルを調整することができます。
本機能の最大の利点は、BIMモデルとしての一貫性を維持しながら、Rhino特有の高いモデリング自由度を実現できる点にあります。建築設計においては、形状の自由度とデータの構造化との両立が常に課題とされていますが、その点においても本機能は非常に有用です。

延長(Extend)機能は、Rhino×VisualARQによる建築モデリングにおいて、構成部材同士の接続を自動化し、作業効率とモデルの一貫性を高めるための非常に有効なツールです。複雑な形状に対応しながらも、操作はシンプルで直感的ですので、ぜひご活用ください。